20kgダイエット 第七章 <だんだん気持ちが前向きに?>

はらみかのダイエット小説

ももちゃんとは妊娠中、母親教室で知り合った。

話してみると予定日も近く、すぐ意気投合した。

私が娘を2月中旬に出産し、10日後に母乳外来に行くと、産まれたての息子ちゃんを連れた入院着姿のももちゃんにバッタリ会った。

「お疲れ様!ホントに近かったね!」と喜んだのがつい昨日のことのように感じる。

 

彼女が事前説明に来る日、私は朝からそわそわしていた。

10時の約束だと聞いていた。

2ヶ月に1度くらいの頻度でランチをしていたが、最近は自粛していて会うのは久しぶりだった。

待ちきれなくて、斜め前に座る新山さんに話しかけた。

「隣の部署に今度友達が来るんですけど、今日説明に来るからつかまえたいんですよねー」

新山さんは少しびっくりした様子だった。

「へぇー、すごいね。同級生かなにか?」

「ママ友なんです。産まれた月も同じで。小さい子いてもこの会社入りやすいよって話をしたんですよ」

「そっかぁ。それは楽しみだね」

新山さんは、いつも優しい。私はこの人の雰囲気が大好きだ。

初対面で思った通り、やっぱり話しやすい。




待ち人がやって来た。

隣の課のリーダーが対応し、別室に連れて行かれたようだ。

結局10時から11時半頃までその説明はかかった。

解放されたももちゃんが通路にいるので私は出て行った。

「久しぶり!長かったね。おなかすいたんじゃない?」

「うん。私が色々質問してたから」と彼女は苦笑い。

この日の私は、レンタルのマスタード色のワンピに黒いカーディガンを羽織っていた。

「実花ちゃんも他の人も服装ちゃんとしてるねー。私もカーディガン買おうかな」と言われ、

「コンプライアンスあるけど、そんなに派手だったりラフすぎなければいいと思うよ」と答えた。

まだまだ話したかったが、ももちゃんはここから家が遠い。車で30分はかかるだろう。

これから帰ってお昼にすると言うので

「気をつけてね。またいつから勤務か分かったら教えてー」と見送った。

最後にももちゃんとランチをしたのは、ちょうど私がダイエットを始めた頃だった。

もしかしたら痩せたことに気付いてくれるかもと期待したが、その話題には及ばなかった。

席に戻ると「お友達ですか?」と隣の課のリーダーに聞かれた。

「はい。見たからに良い子でしょう。これからよろしくお願いします」

「本当に。良い人紹介してもらって。こちらこそよろしくお願いします」

ももちゃんは誰が見ても性格が良いと分かる顔をしている。

ほんわかオーラが漂っており、期待を裏切らず天然さんである。




ある日、麻央の誘いで溶岩ヨガの体験に行った。

岩盤浴の溶岩石バージョンで、ものすごく暑い中でヨガをする。

当たり前だが大量の汗をかいた。

いわゆるデトックスというやつで、さらっとした汗。

シャワーを浴びずともタオルで拭き取るだけでさっぱりする。

麻央は入会する気満々だったが、私はあまり乗り気でなかった。

話だけ聞いて帰ったが、この日の夜すごい量の尿が出た。

翌朝体重を測ると、なんと1㎏減っていた。

良さを体感してしまったので、私も近々通い始めようと思った。

 

11月になった。

朝は寒くても昼間はまだ暑い日が多く、パンストかタイツどちらをはくべきか毎朝悩まされていた。




ダイエットについて考え直した。

いつまでもダラダラと続けるのは良くない。

なんとしても今月いっぱいで耳ツボを卒業しようと決意した。

また、来月から毎週水曜日が確実に休めるか自信がないのと、ヨガの方が体に良さそうだと思い、エアロビも今月で辞めることに決めた。

ヨガで痩せられるなら、耳ツボにこれ以上大金を払うのはツライというのもあった。

 

次に整体院に行った時、新開さんに「今月で辞めようと思います」と告げた。

「12月はクリスマスキャンペーンがあってお得ですよ」と引き止められそうになったが

「いや、こういうのはケツ決めておかないとズルズル行くんで」と断固として拒否。

さらにこう続けた。

「健康体重を目指そうと思います」

私の当初の目標はマイナス20㎏だったが、それでは痩せすぎな気がしてきていた。

いま、マイナス15㎏を目前にして、目標を少し下方修正することにした。

そうすればマイナス17㎏で良い。

2㎏くらいなら、耳ツボをやめても自力で頑張れるだろうと思った。




最初の週末の休み、近所のショッピングセンターでばったりももちゃんに会った。

1人で息子の咲也くんを連れている。

私も娘を連れていた。あきくんがまた出張中のため、母も一緒だった。

話しかけると嬉しそうに笑ってくれる。

ももちゃんの家からは少し遠いはずだが、この隣に広い公園がある。

咲也くんを遊ばせてから買い物をしていたらしい。

早速仕事のことを口にする。

「20日から行くことになったよ」

「ちょっと先だね。待ち遠しいわー。それにしてもさくちゃんイケメンになってきたねー」

「そう?しーちゃんは髪も伸びてきて女子って感じね!前見た時は旦那さん似だと思ったけど実花ちゃんに似てきたね」

「ほんと?そう言ってもらえると嬉しいわ」

前回子連れで会ったのは1歳半検診の時だった。

それからもう1年以上経っている。

実はあきくんは結構怖い顔をしている。

パパ似と言われると本人は嬉しいだろうが、私は褒められている気がしなくてずっと複雑だった。

「じゃあまたねー」

「うん!」と言って別れた。

帰ってから、ももちゃん初出勤の20日は私が休みを取っていることに気付き、LINEをしておいた。

20日は金曜日。「次の週からお昼ご一緒してね。歯ブラシとひざ掛け持ってくるといいよ」

「了解!ありがとう!」というやりとり。

楽しみが増えた。やっぱり歳が近い方が気を使わず話せる。




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