20kgダイエット 第二章 <人生初の胃カメラ体験>

はらみかのダイエット小説

翌朝は母が迎えに来てくれた。

あきくんは娘を寝かしつける必要があったため、昨夜も母が付き添ってくれていた。

母は今年の2月に定年退職し、今は求職中の身だ。

 

産まれて初めて、胃カメラを飲んだ。

ものすごく気持ち悪くて、もう二度とお世話になりたくないと思ったほどだ。

地獄のような時間がやっと終わり、母も呼ばれ映像を見ながらの説明。

「胃はきれいです。次が十二指腸ですが、所々炎症を起こしています。これが下痢の原因かは分かりませんが」というお話。

余談だが、内視鏡センターにはずっと米津玄師の曲が流れていた。

先生の好みなのだろう。私も好きだけれど、胃カメラには似つかわしくないな、と思った。

半袖の季節なのに、左腕のアザは週が変わっても治らず、気にしながら仕事をしていた。

ある日、右隣の席の山下さんが「それ、どうしたんですか?昨日から思ってたんですけど」と聞いてきた。

なぜ昨日聞かない?と思いながら「先週病院で。点滴と採血の跡です。痛々しいですよね。やっぱり見えました?」と答えると

「そりゃ隣ですから。早く治るといいですね」と言ってくれた。

山下さんは4月に異動してきた社員さんで、最近よく話すようになった。

と言うよりほとんど私が一方的に話を聞いている、という表現が正しいか。

男性にしてはよくしゃべる人で、失礼ながら時々うるさいなと思うくらいだ。

話しかけてきたってことは今ヒマなのかな?と思い、さらに会話を続けてみた。

「初めて胃カメラ飲んだんですよ」

「僕も飲んだことあります。口からですか?鼻からですか?」

「口からでした」

「それキツイですよねー。鼻からは楽でしたよ。僕、胃炎やったことあるんで。結果どうでした?」

「腸炎でした」

「あー、ツライですね。薬出たんですか?」

「採血の結果が来週出るんで、それからですね」

「そうなんですね」

内向的な私にしては頑張って話したほう。

初胃カメラ体験を話せて、ちょっとスッキリした。

私の雇用契約は扶養範囲内。休みはカレンダー通りで月の勤務日数が15日以内というもの。

週に1日か多いと2日休みがとれる。平日は娘が保育園のため、自分の時間ができて良い。

この日私は整体院に来ていた。

耳のテープを張り替えてもらいながら、カウンセリングという名のトークタイムがある。

担当の新開さんは、人見知りの私でも話しやすい人で助かっていた。

やはり例のアザが目につくようで、彼女も「痛そうですね、それ」と言った。

「昨日職場でも言われました。しかも前日に気付いてたらしいのに、なぜか1日置いてから聞かれました」

「あはは。その人面白いですね」

そんな会話をし、次回の予約をして帰った。

その後、言われたサプリとアロエジュース以外飲んでいなかったが、一向に良くならなかった。

もしやと思い、自分でネットで調べてみた。本当に便利な時代である。

私はヒノキやイネ科にアレルギーを持っている。

そういう人はウリ科のものに弱いと書いてあった。専門用語で「相互反応」とか言うらしい。

それでスイカがダメだったのか・・・アロエも影響しているかもしれない。

たしかに、最近生活が変わったのってダイエットしかないものね・・・

医者に聞くまでもなく自己解決した感じだった。

整体院の院長と先日話した時「デトックスかもしれないですね」と言われた。

それにしては副作用というか、あまりにも体への負担がひどすぎないか?

なんなの、そういうダイエットなの?こわいんだけど・・・

色々悶々と考え、自己判断で全てのサプリメントをお休みすることにした。

7月が終わろうとしていた頃、あきくんと一緒に義母の転院先に行った。やはり遠かった。

医者は基本的に悪い話しかしないが、元気そうに見えて安心した。

しかし、コロナ対策で子供は病室に入れないそう。

最初で最後かもしれない孫の顔を見せてあげられない。

義母は先日、転院の前に荷物を取りに一時帰宅していた。

「その時がしーちゃんに会わせるチャンスではないか」と私はあきくんに言ったのだが、

「あまり具合が良くないから」と義兄から言われ、諦めたことが悔やまれた。

そして、心底コロナが憎いと思った。

その翌日、検査結果を聞きに朝イチで病院に行った。先生に呼ばれ緊張したが、

「特に異常は見つかりませんでした」

「そうですか。ピロリではないんですか?」

「その心配もありません」

「では何に気を付ければ良いんでしょう?」

「普段通りで大丈夫です」

「そうですか。分かりました。ありがとうございました」

ピロリを疑ったのは、母に最近ピロリ菌が見つかったせいだ。

それと、偶然にもあのよくしゃべる山下氏も少し前にピロリだと言っていたため、

空気感染とかするのかと思い聞いてみたが、杞憂だったようだ。

検査結果に拍子抜けした上、薬も出ず、安い診察代を払い、この日は午後から仕事に行った。


この時点で体重はマイナス6㎏になっていた。

激しい下痢の見返りに、なかなかの結果が出ていた。

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